介護老人保健施設でとんでもない事件が起きた。祖母ほどに年の離れた女性入所者の体を触ったとして、若い介護職員の男が強制わいせつ容疑で逮捕されたのだ。

 警視庁などによると、東京都内の介護施設で働いていた介護職員、横山恭平容疑者(25)=6月16日に逮捕=は2015年12月26日午後4時ごろ、4人部屋に入る70代の女性が一人になるのを見計らってベッドに潜り込んだ。女性が「やめてください」と拒んだが、横山容疑者は女性のシャツの中に手を入れて胸や腹部を触ったという。

 被害女性が家族に相談して、事件が発覚したようだ。

 捜査関係者によれば、複数回にわたってこの女性にわいせつな行為を働いたとみられ、女性は「ほかにも被害者がいるはずだ」と訴えているという。

 本誌は施設側に取材を申し込んだが、詳しい説明は拒まれた。

 7月に『福祉と性』を出版する淑徳大学社会福祉学科の結城康博教授は、今回の事件に戸惑いを隠さない。



「特殊な性の問題と言うより、人材不足によるストレスが〝性的虐待〟という形で表に出たと考えられます。安心・安全な場所でなければならない介護施設が抱える問題が深刻化しているのではないでしょうか。罪状は違いますが、一昨年、川崎市の介護施設で起きた殺人事件と根っこは同じではないかと思います」

 介護業界の関係者にとっても衝撃的なできごとだったようだ。

「動機が何にしても許されない犯罪」。全国有料老人ホーム協会の灰藤誠事務局長は、そう憤る。その一方、介護職員のストレスケアへの対応ができていたのかが、気がかりだという。

「時間的にも空間的にも入所者と密着して生活を支えています。職場などのストレスマネジメントができていたのか気になります」

 老いた親を預けている人ならば、ひとごとではない。一刻も早い解明が待たれる。